熊野古道の道々



                                            杉田明子



狐につままれた
ような道



熊野古道の全容は茫漠として掴みにくい。

一口に、九十九王子と呼ばれて、「すべての道はローマに通じる」ように、
熊野へは数多の「」八方から「熊野の蟻詣で道があります。
その中で、
伊勢路、大辺路、中辺路とメインルートは三つありますが、
私たちは「熊野古道と言えば、中辺路」としか浮かんできません。

その中辺路ルートだけでも、机上のルートと、
実際歩いてみた道、実際乗ったバス道はそれぞれ違っていました。
違うと言っても、狐につままれたように別の感覚です。


  
正常なルート  
二日目、継桜王子から発心門行きバスに乗ったら、
今日宿泊予定の、湯の峰温泉に直行してしまった。
アレッと思っていますと、大社前。

やがて、終点の発心門に着いた。不思議だった。


後で、これが正常なルートであると、分かったが、分かりにくい。



狐が美人に化ける





一方杉の辺り、道陰から登ってきた美しい女性が,ぬっと顔を出したので、
高野会長が「あっ、あなた、狐さん?」と出し抜けに聞かれたら、
「そう、上手にしっぽを隠してるでしょう。」と即答。

この、「狐が美人に化けるという」即席問答が、わたしには楽しかった。



一袋 \100.。

この栗美味しい?


古道の歩道はえも言えぬ素敵な環境で、杉木立の中を進み、
野原には人形達が迎えてくれ、かわいい草花が癒してくれる。
道ばたに無人販売の小屋が建っていて、栗が置いてあった。



「こんにちわ、この栗美味しい?」
「その栗、今朝取ってきて、今、茹でたばかりだよ。
美味しいよ。」